スケジュール
【予告&前回の内容】つれづれ・・・散歩道 11/7は...
10年10月31日
[ラジオスケジュール]10月24日 | 上村松園展 |
10月31日 | 銀座人形与勇輝展 |
11月7日 | 横浜八景島シーパラダイス |
11月14日 | つれづれ散歩道がやってきた!のコンサートが終わって |
※上記内容は予定となっていますので、変更される場合がございます。
[10月31日の放送内容]
銀座人形与勇輝展
今日の散歩道も芸術の秋ということで、銀座へ出かけたお話です。
実は松屋銀座が連日長い行列ですごいことになっていると聞ききました。この行列は人形作家の与勇輝さんの新作展「昭和メモリアル与勇輝展」のものらしいのです。なんでも5年前にも行われた作品展では2週間で17万人も来たんですって。
そんな与さんの作品を観たいと出かけて行きました。
◇
地下鉄銀座で降りると、銀座中央通りに松屋デパートがあります。和光の時計のある銀座4丁目の交差点の近く。この日は日曜日で大通りは歩行者天国でした。
早速デパートへ入ると、店員の方がプラカードを持っています。なんと「40分待ち」しかも直接8階の展示場には行けず4階から並んでくださいとのことでした。なんと8階まで4列になった人人人がズーッとならんでいるのです。90%女性。しかも60代以上が圧倒的に多いです。これは本当にすごい。もう後へは引けません。
◇
やっとのこと8階に着き、入場券1,000円を払って中に入ることになりました。
与さんが8歳のときが終戦、そこで見たもの感じた昭和の激動を残しておきたい。そして、今の人と人との関係が希薄になってしまったことへの将来の不安など、今の子供達に伝えたい。そんな思いが語られていました。
人形の数は110体。ガラスケースに入っています。人形の大きさは4.5cmくらいでしょうか、子供の人形が多いです。布でできていて一体一体どれひとつとして同じものはなく、着ている衣装や表情、しぐさなど一人一人の生活や生い立ちが見えてくるように本当によくできています。
いきなりインパクトは「象徴」というタイトルの天皇陛下は白髪交じりで象徴というタイトルにふさわしいどっちつかずの表情です。背景には二重橋、そのとなりに並んでいるのは「権威」というタイトルでマッカーサー元帥。
いやいや本当にあの写真で見たものそっくりリアル。軍服姿でサングラスにパイプ、足が長くてポケットに手を突っ込んでいます。洋服のしわ一つ一つが風格やリアリティーをまし、洋服の生地もまるきりそのものを使っているように見えます。
そして、見た瞬間からだが震えたのは「夕焼け」という作品。終戦直後、防空頭巾をかぶった4、5歳の女の子と少し年上のお兄ちゃんが二人で、真っ赤に燃える夕焼けを見てる人形。
夕焼けの照明など演出が心憎い。これは観ているだけで涙が出てきます。また食べ物がなくおイモを食べる兄弟や子供ながらに一生懸命生きて、兄弟を抱えてつらいのをこらえている子供。靴磨きをする男の子など、戦争の悲惨さが人形を通じて胸にどしんと響いてきます。こうした人形がなんと110体。どの角度から見ても生きているように見える。
◇
そして昭和を代表する歌手といえば「美空ひばりさん」です。
「和枝ちゃん」という人形がありました。赤い鼻緒の下駄を履きエプロンかけておしゃまな女の子。そこに書かれているコメントには「横浜、磯子の魚屋さんの和枝ちゃんは歌が上手で明るくおおらかで近所の人気者だった。美空ひばりさんは戦後を代表しその明るい歌声は人々に勇気と励ましを与えてくれた」
他にも野球をする子供、お化粧する3人の女の子たち、電車に乗っている様々な人たちの人形が展示されて本当に感情に訴えてくるものがあります。
わたしも知らない戦中戦後。与さんも本当は作品を作るのはつらかったといわれていましたが、相当そのときの時代やその子供の恐怖感などにどんどんはいりこまれて作られたのだと思うと、余計に伝わります。
平成の今と違い子供もゆったりとした時間の中で様々感じ取って、やわらかい表情なのに、胸が切なくなるような健気、がんばって生きている姿に心打たれました。
◇リンク◇
「昭和・メモリアル 与勇輝展」 公式サイト
千花有黄ブログ「つれづれ...散歩道」: 2010.10.07